現物まがい商法
1.現物まがい商法の特徴
現物まがい商法とは、ある商品や権利(以下、「商品等」という。)を消費者に販売し、その商品等を事業者に預けて資産運用を行い、運用で得た運用益を消費者に還元する商法です。
主な勧誘方法は、日中に自宅へ訪問してきたり、電話をしてきたりします。
勧誘の際、「○年後には○万円以上の利益が出る」「今が投資のチャンス」「私どもに任せておけば必ず儲かる」等の甘い言葉をかけてくる場合がほとんどです。
しかし実際は、消費者から資金を集めるだけ集めて運用していなかったり、いつまで経っても利益の還元がなかったり、気がついたら連絡が取れなくなる等、社会問題になることがよくあります。
現物まがい商法に用いられる主なものは、金や真珠等の貴金属類、ゴルフ会員権や黒毛和牛のオーナーといった権利等があります。
2.現物まがい商法の解約方法
クーリングオフ
現物まがい商法の場合、その多くが法律で定める預託等取引契約に該当し、クーリングオフの対象となっています。
ただし、クーリングオフができる契約として、以下の特定商品や施設利用権を事業者が3ヶ月以上預かり、利子などの財産上の利益を供与する契約であることが必要です。
- 特定製品
- 1.貴石、半貴石、真珠及び貴金属(金、銀、白金およびこれらの合金)並びにこれらを用いた装飾用調度品及び身辺細貨品
- 2.盆栽、鉢植えの草花その他の観賞用植物(切花及び切枝を除く。)
- 3.哺乳類又は鳥類に属する動物であって、人が飼育するもの
- 2.盆栽、鉢植えの草花その他の観賞用植物(切花及び切枝を除く。)
- 施設利用権
- 1.ゴルフ場を利用する権利
- 2.スポーツ又はレクリエーションの用に供するヨット、モーターボート又はボートを係留するための係留施設を利用する権利
- 3.語学を習得させるための施設を利用する権利
- 2.スポーツ又はレクリエーションの用に供するヨット、モーターボート又はボートを係留するための係留施設を利用する権利
契約書面を受け取った日から14日以内に、クーリングオフをする旨の通知を事業者に送ります。
「事業者に会った日」「契約書にサインした日」「商品を受け取った日」からではないので、注意してください。
クーリングオフを行うには理由は必要なく、事業者の承諾も必要ありません。
クーリングオフを行えば、消費者は一切の費用を負担する必要がないので、既にサービスを受けている場合でも、そのサービス料を支払う必要はありません。
クレジット契約をしている場合は、クレジット会社に対しても同様にクーリングオフをする旨の通知を送ります。
なお、クーリングオフやクレジット会社に送る通知は、後のトラブルを防ぐためにも内容証明と配達証明を利用して行うことをお勧めします。
※4月1日に契約書面を受け取った場合は、4月14日発送の通知までが有効です。
※クーリングオフの可否等不安がある場合は、当事務所にご相談ください。
中途解約
現物まがい商法では、クーリングオフの期間を経過しても、法律により預託等取引契約を中途解約することができます。
中途解約するための理由は必要ありません。
悪質な事業者は「中途解約はできない」と言う場合もありますが、中途解約は自分の都合ですることができます。
その際、事業者が消費者に請求できる損害賠償(解約金等)の金額は、次のように決まっています。
損害賠償の限度額 = 契約金額の10%
この金額は事業者が消費者に請求できる上限の金額ですので、これ以上の金額を請求されても支払う必要はありません。
悪質な事業者では、法外な解約金を請求することもありますので、不安に思った場合は事業者に料金の内容を問い合わせるなどしてください。
クレジット契約をして支払いをしていれば、事業者とは別にクレジット会社に対して手続きをしなければ、月々の支払を止めることはできません。
クレジット会社に対しては、「抗弁の接続」をする旨を通知する必要があります。
これにより、クレジット会社に対する支払いが、問題が解決されるまでの間、一時的に中断できるようになります。
詳しくは当サイト内の「クレジット契約の基礎知識」を参考にしてください。
中途解約を妨害してくるような場合や、法外な解約金を請求してくる場合は、当事務所にご相談ください。